苦しいときにはこれを聴け! part3

私のメンタルヘルスに役立つ音楽特集

寝込むほど体調が悪いとき,大抵の音楽は聴けなくなる.
しかし(以下略)
特集3回目です.


坂本龍一 "12", 2023

2020/01/17, 坂本龍一の71歳の誕生日に発売されたアルバム.
12の静かな曲の寄せ集めで,作成された日付がそのまま曲のタイトルになっている.
坂本はガンがステージ4まで進行した状態でアルバムを作成しており,無観客ライブ配信などについても「これが最後かも」と漏らしている状態だ.
やはりスタジオアルバムとしてはこれを遺作にするつもりだろう.

私も日付をタイトルにつけることは毎回行なうので,この意味について私流の解釈を記しておきたい.
坂本が日付を残すのは,やはり闘病しながらギリギリでその日を生きたことを,作品に刻むことで,自分を讃え,また慰めたいからだろう.
それは無人島に流れ着いた人間が日付を数えるために洞窟に毎日一本ずつ線を引くことと似ている.
日付は単なる時間の流れを示すだけでなくて,その人がその日を生き抜いた証になるのだ.
私には坂本にそのような考えがあるように見える.
普通なら録音しないようなノイズとして,坂本の苦しそうな鼻息や動く音がまるでそこにあるかのように録音してあるのも,
坂本がその日も確かに生きたことを残すためだろう.
ここでは坂本のノイズは反音楽としての意味以上の大きな意味を持っている.
彼の実存が,私たち人間に最もリアリティや臨場感を与える音という方法で伝わってくる.


坂本龍一"async", 2017

タルコフスキーの架空の作品をモチーフにした作品.
確かにタルコフスキーを観ているとまるまま坂本が作品をパクっているような印象さえ受ける.
この頃からストラトキャスターとEbowの組み合わせをやり始めた.
まぁでも坂本龍一聴くぐらいならもっといい音楽が世の中にはあるのでそっちを聴くことを皆さんにはオススメする
マックス・リヒターとかどうですか.


坂本龍一, Alva Noto "Two: Live At The Sydney Opera House", 2019

Alva Notoといると坂本のサウンドが一流になることに気づかせてくれるライブアルバム.
坂本龍一がすごいのではなくて共演しているミュージシャンがすごいのだということはよくある.
というかそればかりかもしれない.
とはいえラストの"The Revenant Theme"はものすごくノレる.
Alva Notoは偉い!


Fábio Caramuru "EcoMúsica/Aves",2018

サンパウロのピアニスト.ジョビンの研究者としても有名らしい
鳥の声を録音してピアノで伴奏するというコンセプトの作品の2作目で,
来日したコンサートの合間に日本の鳥の声を録音して作られたもの.
最初は奇妙な音楽に聴こえるが,自然観察の経験のある人なら聴き方がわかってくるだろう.
鳥の精巧なリズムに対してピアノが返答として演奏することで不思議なポリリズムができている.
曲ごとの解説が読める


Tarkovsky Quartet "NUIT BLANCHE", 2017

ピアニストのFrançois Couturierの率いるTarkovsky Quartetの二作目
“silence and slowness of Tarkovsky”をコンセプトにECMから2017年に発表している.
このアルバムを聴き返していて気づいたのだが,苦しいときはECMを聴いておけば間違いないだろう.
実はこのグループの一作目はイマイチだという口コミがあったので聴いていない.


Max Richter "The Blue Notebooks -15 Years -", 2018

ポストクラシックのことは散々バカにしてきたのでリヒターも当然聴いてこなかった
しかし今聴くと私の聴ける音楽の中でもリヒターはかなり質の高い部類に属している…
こういう音楽をもっと真面目に(それなりにいい音響機器で)聴いておくべきだった.
これから開拓していく.
ちなみにこのアルバムはTilda Swintonが朗読で参加している.
このアルバムは2004年発売の作品のリイシュー(作曲は2003年)
以前は古臭いと思ったのだが,今聴くとtimelessな作品に聴こえるのはなぜだろう.
おそらく坂本龍一の垢抜けなさと比較することでリヒターの洗練されたサウンドがわかるようになったのだろう…


Jóhann Jóhannsson "IBM 1401 A User’s Manual", 2006

リヒターと並ぶポストクラシカルの巨匠.
2018年に早逝した.
映画音楽で素晴らしい働きをしていただけにとても残念だ.
IBMのコンピュータから着想を得て作られたアルバム
実際にこのような機械音がしていたかはわからない.
私はIBMのメインフレームの仕事をしていたとき,この曲を聴きながら職場に向かっていた.
IBMのメインフレームへの愛着を高めてくれる音楽だった.