私も日付をタイトルにつけることは毎回行なうので,この意味について私流の解釈を記しておきたい.
坂本が日付を残すのは,やはり闘病しながらギリギリでその日を生きたことを,作品に刻むことで,自分を讃え,また慰めたいからだろう.
それは無人島に流れ着いた人間が日付を数えるために洞窟に毎日一本ずつ線を引くことと似ている.
日付は単なる時間の流れを示すだけでなくて,その人がその日を生き抜いた証になるのだ.
私には坂本にそのような考えがあるように見える.
普通なら録音しないようなノイズとして,坂本の苦しそうな鼻息や動く音がまるでそこにあるかのように録音してあるのも,
坂本がその日も確かに生きたことを残すためだろう.
ここでは坂本のノイズは反音楽としての意味以上の大きな意味を持っている.
彼の実存が,私たち人間に最もリアリティや臨場感を与える音という方法で伝わってくる.